devlog を始める理由
初稿公開時の2026年4月、RandaWorksでは制作ノート(記事)と完成間近のゲーム(『日本史因果クロニクル』)を公開してきましたが、開発途中の思考や試作の過程そのものはあまり共有してきませんでした。この devlog は、その穴を埋めるためのカテゴリです。
完成した作品だけを見ていると、「なぜその設計になったのか」が落ちてしまいます。試作のあいだに生まれた迷い、ボツになったメカニクス、テストプレイで学んだこと——これらは作品そのものには残らない情報ですが、次の作品や、似た試みをしている他の開発者にとって役立つ場合があります。
また、インディースタジオにとって、公開前からプレイヤーとゆるやかに対話できる場所を持つことは、結果的に良い作品を生むことにつながると考えています。リリース時に「はじめまして」で始めるより、「開発の途中で何度か見かけた気がする」作品のほうが、遊び手の姿勢も違うはずです。
RandaWorks の方法論——教科の構造を、そのままゲームに
この devlog で共通して扱うのは、RandaWorks のすべての作品を貫く方法論です。ひとことで言うと、
教科の内部構造を、そのままゲームのルールにする
ということになります。「勉強してから遊ぶ」でも「遊びながら勉強する」でもなく、ゲームを遊ぶこと自体が、そのまま教科の理解になる——そんな設計を目指しています。
以下は初稿公開時点(2026年4月)の設計・試作の紹介です。現在公開中の作品はゲーム一覧で確認できます。
- 『日本史因果クロニクル』: 歴史の因果関係そのものが、カードを組むときのコンボ条件になります。信長・秀吉・家康の時代のつながりを、コンボ条件に組み込みます。年代の前後と直接の因果は区別して読む必要があります。
- 英単語シューティング(試作中): 英単語の形態構造(接頭辞・接尾辞・品詞)そのものが、武器の進化ツリーになります。
un-や-lyがただの飾りではなく、武器の強さを決める要素になる。 - 地理ジグソー(試作中): 地理の隣接関係そのものが、パズルのピース同士のつながりになります。県境や国境のルールが、そのままプレイのルールになる。
これらは「ポイントやバッジで学習を装飾する」タイプのゲーミフィケーションではなく、学ぶ対象そのものをゲームの骨格に据える設計上の提案です。この方式がほかの教材より学習効果を高めると測定したわけではありません。関連する研究は ゲーミフィケーションの実効性 に整理しています。
この devlog で扱うテーマ
開発途中の案件が中心になるため、記事の長さや頻度は不規則になると思いますが、だいたい次のようなテーマを扱います。
- 試作バージョンのプレイテスト結果と、何を削って何を残したか
- 教科の構造をゲーム化するときに詰まった論点と、どう解消したか
- 他の作品(他社のゲーム、学術研究、ボードゲーム)からの学び
- リリース前のタイトルの進捗報告
他のカテゴリとの関係
RandaWorks の制作ノートには、以下のようなトピックもあります。
- デッキ構築ゲームの知性 — Slay the Spire などを設計思想で読み解く
- 歴史を学ぶゲーム — EU4 や Pentiment の認識論
- ゲーミフィケーションの実効性 — メタ分析と実例
devlog はこれらの理論的な記事とは違って、実装・試作の現場からの報告になります。うまくいったことだけでなく、詰まったことや間違えたことも書く予定です。
公開前のタイトルの名称やスクリーンショットは、プロジェクトの性格上すべてを出せないことがあります。そのあたりはご了承ください。

