古文の「なり」は、「なり」の上にある語の形で見分けます。「〜になる」という変化なら動詞「なる」、「静かなり」のように状態を表す1語なら形容動詞、残る助動詞は、上が体言・連体形なら断定、終止形(ラ変型の語は連体形)や撥音便のあとなら伝聞推定です。
「なり」の識別 早見表
| 「なり」の正体 | 上に来る形 | 意味・訳 | 例(実際の古文) |
|---|---|---|---|
| 断定の助動詞 | 体言・連体形(助詞「ば」などにも付く) | 〜である/〜にある(存在) | 女もしてみむとてするなり(『土佐日記』) |
| 伝聞推定の助動詞 | 終止形(ラ変型の語は連体形)。撥音便のあと | 〜そうだ・〜という(伝聞)/〜ようだ(推定) | 男もすなる日記(『土佐日記』) |
| 形容動詞の活用語尾 | 状態を表す語幹(静か・あはれ・〜げ など) | 〜だ(状態・性質) | 飛び急ぐさへあはれなり(『枕草子』) |
| 動詞「なる」の連用形 | 「〜に」「〜く」「〜と」など | 〜になる(変化) | 山の端いと近うなりたるに(『枕草子』) |
活用の形も見分ける材料になります。
| 語 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | 活用の型 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 断定の助動詞「なり」 | なら | なり・に | なり | なる | なれ | なれ | 形容動詞ナリ活用型 |
| 伝聞推定の助動詞「なり」 | ○ | (なり) | なり | なる | なれ | ○ | ラ変型 |
| 形容動詞「静かなり」の語尾 | なら | なり・に | なり | なる | なれ | なれ | ナリ活用 |
| 動詞「なる」(成る) | なら | なり | なる | なる | なれ | なれ | ラ行四段 |
「なら」「なり」「なれ」の形は断定・形容動詞・動詞のどれにもあり、形だけでは決まりません。上の語とのつながりと意味で見分けます。伝聞推定の活用表は、辞典によって欄の立て方が違います(後述)。
見分ける手順
次の順で確かめると、4種類を取り違えにくくなります。
- 「なる」に置き換えて、変化を表すか:「〜になり」「〜くなり」「〜となり」で「〜になる」という意味なら、動詞「なる」の連用形です。
- 上の語と合わせて、状態を表す1語か:「静かなり」「あはれなり」「きよげなり」のように、「なり」まで含めて性質・状態を表すなら形容動詞です。
- 上が撥音便(「ん」が書かれない形を含む)か:「あなり」「ざなり」「かなり」のように、撥音便のあとに付く「なり」は伝聞推定です。
- 上の語の活用形は何か:体言・連体形なら断定、終止形なら伝聞推定です。ラ変型に活用する語(あり・をり、「けり」「たり」、形容詞の補助活用など)には、伝聞推定の「なり」も連体形に付きます。
- 接続で決まらないときは文脈:上が四段・上一段・下一段動詞のように終止形と連体形が同じ形の場合は、音や声を根拠にしていれば推定、人の話やうわさなら伝聞、どちらでもなければ断定と判断します。
断定の助動詞「なり」
格助詞「に」とラ変動詞「あり」が融合してできた助動詞です。活用は「なら・なり(に)・なり・なる・なれ・なれ」で、形容動詞のナリ活用と同じ型です。
- 接続:体言、活用語の連体形に付きます。「〜ばなり」のように助詞に付くこともあります。
- 意味:断定(〜である・〜だ)と、場所や方角を表す語に付く存在(〜にある・〜にいる)の2つが基本です。存在の意味は、主に連体形「なる」で現れます(「春日なる三笠の山」=春日にある三笠の山)。
- 形容詞に付くとき:本活用の連体形に付いて「高きなり」の形になります(作例)。補助活用の「高かるなり」は、下で説明する伝聞推定です。
辞典は、このほかにも用法を立てています。デジタル大辞泉は、『土佐日記』の「帰らぬ人のあればなりけり」のように根拠を示して「…のである・…からである」と説明する用法や、漢文訓読から出た「顔回なる者」(〜という)を挙げています。
連用形には「なり」のほか「に」があり、「にあり」「にや」「にこそあれ」のように、下に「あり」や係助詞を伴って使われます。断定の助動詞のほかの用法や、接続の一覧は、古文の助動詞 活用表と接続一覧で整理しています。
伝聞推定の助動詞「なり」
音や声を表す「ね」「な」に「あり」が付いてできたとみる説が有力で、耳で聞いたことにもとづく判断を表します。活用は「○・(なり)・なり・なる・なれ・○」のラ変型です。
- 接続:活用語の終止形に付きます。ラ変型に活用する語には連体形に付きます(「あるなり」「多かるなり」)。
- 伝聞:人から聞いた話・うわさにもとづいて「〜そうだ・〜という」。
- 推定:その場で聞こえる音や声にもとづいて「〜ようだ・〜らしい」。
伝聞推定の「なり」は終止形接続の助動詞なので、助動詞の接続一覧の終止形接続のグループ(らむ・べし・らし・めり・まじ・なり)と一緒に覚えると、「ラ変型には連体形」という例外もまとめて押さえられます。
撥音便+「なり」は伝聞推定
ラ変型の語の連体形「〜る」は、下に伝聞推定の「なり」や推定の「めり」などが続くと撥音便になり、「〜ん」となることがあります。この「ん」は書かれないことが多く、次のような形で出てきます。
| 書かれた形 | もとの形 | 上の語 |
|---|---|---|
| あなり・あんなり | あるなり | ラ変動詞「あり」 |
| ざなり・ざんなり | ざるなり | 打消の助動詞「ず」(補助活用の連体形「ざる」) |
| 多かなり・多かんなり | 多かるなり | 形容詞「多し」(補助活用の連体形「多かる」) |
| ななり・なんなり | なるなり(なりなり) | 断定の助動詞「なり」 |
| 静かななり・静かなんなり | 静かなるなり | 形容動詞「静かなり」 |
撥音便のあとの「なり」は、学校文法では伝聞推定と判断します。「あるなり」の形のままなら、「ある」は連体形なので断定とも伝聞推定とも読め、文脈で決めることになります。撥音便になっている(または「ん」が書かれていない)ことに気づけるかが、識別の分かれ目です。
「ななり」は、上の「な」が断定の「なり」、下の「なり」が伝聞推定です。デジタル大辞泉は『源氏物語』宿木の「人づてに承りし事の筋ななり」を例に挙げ、「…であるようだ・…であるということだ」と説明しています。
形容動詞ナリ活用の活用語尾
「静かなり」「あはれなり」「さらなり」の「なり」は、形容動詞の活用語尾です。「なり」だけを取り出すことはせず、全体を1語として扱います。
形容動詞と、名詞+断定の「なり」は、「なり」の上の部分が名詞として使えるかで見分けます。
- 「春が来る」「春を待つ」のように、格助詞「が」「を」などを付けて主語や目的語にできれば名詞です。「春なり」(作例)の「なり」は断定の助動詞です。
- 「静か」「あはれ」は、格助詞を付けて主語にする使い方がしにくく、「なり」まで含めて状態を表します。日本大百科全書も、名詞と形容動詞の語幹とでは、格助詞が付くかどうかなど用法に差があると説明しています。
- 「〜か」(静か・ほのか)、「〜やか」(たをやか)、「〜らか」(うららか)、「〜げ」(きよげ・うつくしげ)が付いた語は、形容動詞の語幹になることが多い語です。
- 「いと」などの程度を表す語で修飾できるかも、手がかりの一つです(いと静かなり)。当サイトの整理で、決め手ではなく目安です。
形容動詞の活用表と、形容詞との違いは古文の形容動詞 活用表(あはれなり・静かなり)|ナリ活用・タリ活用と見分け方で整理しています。
動詞「なる」の連用形
「成る」はラ行四段活用の動詞で、連用形が「なり」です。「〜になる」「〜となる」「〜くなる」のように、前とは違う状態に変わることを表します。
- 「猫またになりて」(『徒然草』第八十九段):「〜に」のあとで「猫またに変わって」
- 「山の端いと近うなりたるに」(『枕草子』第一段):「近う」は「近く」のウ音便で、「近くなった」という変化
- 「なくなり給ひぬなり」(『更級日記』)の「なくなり」:デジタル大辞泉は「なくなる(無くなる・亡くなる)」を1語の動詞として立てています。形容詞「なし」の連用形+動詞「なる」と分けて説明する教材もありますが、どちらにしても助動詞ではありません
動詞の「なり」は、上に助詞「に」「と」や形容詞・形容動詞の連用形があることが多く、置き換えて「〜になる」と訳せるかで確かめられます。まれに「鳴る」「生る(実る)」などの別の動詞のこともあるので、文脈も見てください。動詞の活用の種類は古文の動詞 活用の種類9つと見分け方にまとめています。
実際の古文で確かめる
有名な章段で、「なり」を識別します。本文は Wikisource の公開本文をもとにし、旧字体を新字体に改め、校注者の注記(〔 〕内)を省きました。くり返し記号は仮名に開き、和歌は読みやすいように漢字と濁点を補っています。
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。(『土佐日記』冒頭)
- すなるの「なる」:サ変「す」の終止形に付くので伝聞推定(伝聞)の連体形。「男も書くという日記」
- するなりの「なり」:サ変「す」の連体形「する」に付くので断定の終止形。「書くのである」
「奥山に、猫またと云ふものありて、人を食ふなる。」と人のいひけるに、「山ならねども、これらにも、猫の経あがりて、猫またになりて、人とる事はあなるものを。」といふものありけるを(『徒然草』第八十九段)
- 食ふなるの「なる」:四段「食ふ」は終止形と連体形が同じ形なので、接続では決まりません。「と人のいひけるに」とあり、人から聞いたうわさなので伝聞の連体形です。「人を食うそうだ」
- 山ならの「なら」:名詞「山」に付く断定の未然形(「山ではないけれども」)
- 猫またになりての「なり」:動詞「なる」の連用形
- あなるの「なる」:ラ変「あり」の連体形「ある」が撥音便で「あん」となり、「ん」が書かれていない形に付く伝聞推定の連体形。「(人をとることは)あるというのに」
また聞けば、侍従大納言の御女、なくなり給ひぬなり。殿の中将のおぼしなげくなる様、我が物の悲しき折なれば、いみじく哀なりと聞く。(『更級日記』)
- ぬなりの「なり」:完了「ぬ」の終止形に付くので伝聞推定。「また聞けば」とあるので伝聞で、「亡くなられたそうだ」。デジタル大辞泉も伝聞の用例に挙げています
- おぼしなげくなるの「なる」:四段「おぼしなげく」に付くので接続では決まりませんが、文末の「と聞く」から伝聞と読みます
- 折なればの「なれ」:名詞「折」に付く断定の已然形
- 哀なり:形容動詞「あはれなり」の終止形
かたはらなる所に、先おふ車とまりて、「荻の葉、荻の葉」と呼ばすれど、答へざンなり。呼びわづらひて、笛をいとをかしく吹きすまして過ぎぬなり。(『更級日記』)
- かたはらなるの「なる」:場所を表す名詞「かたはら」に付く断定の連体形で、存在の意味。「すぐそばにある所」
- ざンなりの「なり」:打消「ず」の連体形「ざる」の撥音便「ざん」に付く伝聞推定。この本文は撥音を「ン」と書き添えていますが、「ざなり」と書かれる形です。呼ぶ声に返事が聞こえないので推定で「答えないようだ」
- 過ぎぬなりの「なり」:「ぬ」の終止形に付く伝聞推定。笛の音が遠ざかるのを聞いているので推定で「通り過ぎて行ったようだ」。デジタル大辞泉は推定の用例に挙げています
秋は夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。(『枕草子』第一段)
- なり(近うなりたる):動詞「なる」の連用形。「近くなった」という変化
- あはれなり:形容動詞「あはれなり」の終止形。同じ段の「月の頃はさらなり」の「さらなり」も形容動詞です
秋の野に人まつ虫の声すなり我かと行きていざとぶらはむ(『古今和歌集』巻四・秋歌上、よみ人しらず)
- すなりの「なり」:サ変「す」の終止形に付く伝聞推定。松虫の「声」を聞いているので推定で「声がするようだ」
天の原ふりさけ見れば春日なるみかさの山に出でし月かも(『小倉百人一首』7番、阿倍仲麻呂)
- 春日なるの「なる」:地名「春日」に付く断定の連体形で、存在の意味。「春日にある三笠の山」
都へとおもふもものゝかなしきはかへらぬ人のあればなりけり(『土佐日記』)
- なり:接続助詞「ば」に付く断定の連用形(下に「けり」)。「(帰らない人がいる)からなのだなあ」と理由を説明しています。デジタル大辞泉はこの歌を「思ふを物の悲しきは」の本文で引いています
撥音便の例をもう一つ挙げます。『竹取物語』の終わり近く、帝が不死の薬を焼かせる場面で、Wikisource の國民文庫本は「駿河の國にあンなる山の巓(いたゞき)に」と撥音を書き添えています。精選版 日本国語大辞典は同じ箇所を「するがの国にあなる山のいただきに」と、「ん」のない形で引いています。どちらも、ラ変「あり」の撥音便に付く伝聞推定の「なり」で、「駿河の国にあるという山」です。
資料で分かれる点
- 伝聞推定の「なり」の活用表:デジタル大辞泉は「○・(なり)・なり・なる・なれ・○」とし、未然形と命令形を立てません。精選版 日本国語大辞典は「なら・なり・なり・なる・なれ・〇」と、未然形「なら」も載せています。この記事と当サイトの助動詞の記事は、前者の表で示しています。
- 「あ(ん)なり」の「あん」:学校文法では、ラ変「あり」の連体形「ある」が撥音便になったものと説明します。精選版 日本国語大辞典は、上代には「ありなり」と終止形に付いた例があり、平安時代の例はほとんど「あなり」と書かれていて、「あるなり」と書かれた確証は乏しい、と記しています。後世には連体形に付く例も現れる、とも書いています。識別問題では、どちらの説明でも「撥音便+なり=伝聞推定」という判断は変わりません。
- 「ななり」の上の「な」:デジタル大辞泉は断定の「なり」の連体形「なる」の音変化とし、精選版 日本国語大辞典は終止形「なり」に付いたものとみたうえで、連体形とみる考え方もあると記しています。
- 伝聞推定の意味の分け方:学校文法では「伝聞」と「推定」の2つに分けるのが一般的です。デジタル大辞泉は「音や声が聞こえる」「伝聞」「音・声やうわさなどに基づく推定」に分け、近世の「詠嘆」の用法も挙げています。精選版 日本国語大辞典は、近世以来この「なり」は詠嘆ととらえられてきたが、近年は「伝聞推定」と説くのが一般的になった、と説明しています。
- 断定の「なり」の意味:学校文法では「断定・存在」の2つで覚えますが、辞典は「…のである」と事情を説明する用法や、「〜という」の用法なども立てています。
- 断定の連用形「に」:「にあり」「にや」の「に」は、断定の「なり」の連用形とするのが普通ですが、助詞とみる説もあります(精選版 日本国語大辞典)。
- 形容動詞を1語とみるか:形容動詞を品詞として認めず、「静か」を体言、「なり」を断定の助動詞とみる学説もあります。学校文法では「静かなり」全体を1語の形容動詞として扱います。
定期テストや入試の解答は、授業で使う文法書の整理に合わせてください。
練習問題(10問)
答えは各問の「答え」を開いて確認してください。問1〜9は上で確かめた実際の古文、問10は作例です。
問1. 「男もすなる日記」の「なる」を文法的に説明しなさい。
答え
伝聞推定の助動詞「なり」の連体形(伝聞)
上の「す」はサ変動詞の終止形です。終止形に付くので伝聞推定で、「男も書くという日記」と訳します。
問2. 「女もしてみむとてするなり」の「なり」を文法的に説明しなさい。
答え
断定の助動詞「なり」の終止形
上の「する」はサ変動詞「す」の連体形です。連体形に付くので断定で、「書いてみようと思って書くのである」と訳します。
問3. 「山の端いと近うなりたるに」の「なり」を識別しなさい。
答え
ラ行四段動詞「なる」の連用形
「近う」は形容詞「近し」の連用形「近く」のウ音便です。「近くなった」という変化を表すので、助動詞ではなく動詞です。
問4. 「飛び急ぐさへあはれなり」の「なり」を識別しなさい。
答え
ナリ活用の形容動詞「あはれなり」の終止形の活用語尾
「あはれ」と「なり」で1語の形容動詞です。「しみじみと趣深い」という状態を表しています。
問5. 「春日なるみかさの山」の「なる」を、意味も含めて説明しなさい。
答え
断定の助動詞「なり」の連体形。意味は存在(〜にある)
地名「春日」に付いて、「春日にある三笠の山」という意味になります。場所を表す語+「なる」は、存在の意味になることが多い形です。
問6. 「奥山に、猫またと云ふものありて、人を食ふなる。」と人のいひけるに、の「なる」を識別し、そう判断した理由を答えなさい。
答え
伝聞推定の助動詞「なり」の連体形(伝聞)
「食ふ」は四段動詞なので、終止形と連体形が同じ形で、接続からは断定か伝聞推定かを決められません。直後に「と人のいひけるに」とあり、人から聞いたうわさを伝えているので伝聞と判断します。「人を食うそうだ」と訳します。
問7. 「人とる事はあなるものを」の「あなる」を文法的に説明しなさい。
答え
ラ変動詞「あり」の連体形「ある」の撥音便「あん」の「ん」の無表記+伝聞推定の助動詞「なり」の連体形
「あるなる」が「あんなる」となり、「ん」が書かれずに「あなる」になった形です。撥音便のあとの「なり」なので伝聞推定です。
問8. 「笛をいとをかしく吹きすまして過ぎぬなり」の「なり」を識別し、訳しなさい。
答え
伝聞推定の助動詞「なり」の終止形(推定)。「(笛を)たいそう趣深く吹き澄まして通り過ぎて行ったようだ」
上の「ぬ」は完了の助動詞の終止形です(連体形なら「ぬる」)。終止形に付くので伝聞推定で、笛の音を聞いて判断しているので推定です。
問9. 「山ならねども」の「なら」を文法的に説明しなさい。
答え
断定の助動詞「なり」の未然形
名詞「山」に付いています。下の「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形で、「山ではないけれども」と訳します。
問10. 次の作例の「なり」を、それぞれ識別しなさい。(a)「この山、高きなり」(b)「その山、高かなり」
答え
(a)断定の助動詞「なり」 (b)伝聞推定の助動詞「なり」
形容詞に断定の「なり」が付くときは、本活用の連体形「高き」に付きます。伝聞推定の「なり」は補助活用の連体形「高かる」に付き、これが撥音便で「高かん」となり、「ん」が書かれずに「高かなり」となります。(a)は「高いのである」、(b)は「高いそうだ・高いようだ」です。
まとめ
- 「なり」は、断定の助動詞・伝聞推定の助動詞・形容動詞の活用語尾・動詞「なる」の連用形の4種類を見分ける
- 「〜になる」と変化を表せば動詞、「静かなり」のように状態を表す1語なら形容動詞
- 助動詞は接続で見分ける。体言・連体形なら断定、終止形(ラ変型は連体形)なら伝聞推定
- 撥音便(無表記を含む)+なりは伝聞推定(あなり・ざなり・多かなり・ななり)
- 終止形と連体形が同じ形のときは文脈で判断する。音・声なら推定、人の話・うわさなら伝聞
- 断定の「なり」は、場所を表す語に付くと存在(〜にある)の意味になる
「なり」の識別は、助動詞の接続を覚えているかどうかで決まります。接続があいまいなときは、先に助動詞の活用表を見直すと解きやすくなります。
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参考資料
- なり - コトバンク(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典。断定・伝聞推定、『土佐日記』『更級日記』『徒然草』の用例)
- あなり - コトバンク(『竹取物語』『徒然草』の用例)
- ななり - コトバンク(『源氏物語』宿木の用例)
- なんなり - コトバンク
- 成る - コトバンク
- 無くなる - コトバンク
- 形容動詞 - コトバンク(日本大百科全書ほか)
- ナリ活用 - コトバンク
- 埼玉県立春日部東高等学校・古典文法講座 第五回(形容詞・形容動詞。形容動詞の撥音便)
- 古文 文法23「なり」の識別 - 古文のツボ
- 高等学校古文/形容詞・形容動詞 - Wikibooks(形容動詞の語幹になる接尾辞)
- 土佐日記 (國文大觀) - Wikisource
- 徒然草 (校註日本文學大系) - Wikisource
- 更級日記 (有朋堂文庫) - Wikisource
- 竹取物語 (國民文庫) - Wikisource
- 枕草子 (Wikisource)/第一段 - Wikisource
- 古今和歌集/巻四 - Wikisource
- 小倉百人一首 - Wikisource
