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古文の動詞 活用の種類9つと見分け方|活用表と覚える語一覧

執筆・編集 RandaWorks 更新 2026年10月5日 14分で読める
#古文#古典文法#動詞#活用表

古文の動詞の活用は、四段・上一段・上二段・下一段・下二段・カ行変格(カ変)・サ行変格(サ変)・ナ行変格(ナ変)・ラ行変格(ラ変)の9種類です。見分け方の一つは、所属する語が少ない上一段・下一段・カ変・サ変・ナ変・ラ変の6種類を先に覚えてしまい、残りの動詞に打消の助動詞「ず」を付けて判定することです。「ず」の直前がア段なら四段、イ段なら上二段、エ段なら下二段になります。

動詞の活用9種類の全体像

活用の種類は、規則的に変化する正格活用(5種類)と、変則的に変化する変格活用(4種類)に分かれます。

分類活用の種類活用語尾が変化する音見分け方
正格活用四段活用ア・イ・ウ・エの4段「ず」で判定
正格活用上一段活用イ段だけ暗記(10語ほどと、その複合語)
正格活用上二段活用イ・ウの2段「ず」で判定
正格活用下一段活用エ段だけ暗記(「蹴る」1語)
正格活用下二段活用ウ・エの2段「ず」で判定(四段に次いで多い)
変格活用カ行変格活用カ行のキ・ク・コ暗記(「来」1語)
変格活用サ行変格活用サ行のシ・ス・セ暗記(「す」「おはす」と複合語)
変格活用ナ行変格活用ナ行のナ・ニ・ヌ・ネ暗記(「死ぬ」「往ぬ」2語)
変格活用ラ行変格活用ラ行のラ・リ・ル・レ暗記(「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」)

数が多い四段・上二段・下二段は、一語ずつ覚えるのではなく「ず」で判定します。逆に、残りの6種類は所属する語がごく少ないので、先に覚えてしまうほうが速いです。

まず暗記する6種類の動詞

活用の種類所属する語覚え方・注意
上一段干る・射る・鋳る・着る・似る・煮る・見る・居る・率る頭の音で「ひ・い・き・に・み・ゐ・る」=「ひいきにみゐる」。顧みる・試みる・用ゐる・率ゐる(ひきゐる)などの複合語も上一段
下一段蹴るこの1語だけ
カ変来(く)「来」と、その複合動詞だけ
サ変す・おはす「す」は名詞や漢語と結び付いて「恋す」「心す」「案ず」「御覧ず」などの複合動詞を作る。濁って「〜ず」になってもサ変
ナ変死ぬ・往ぬ(去ぬ)この2語だけ
ラ変あり・をり・はべり・いまそかり(いますがり)終止形がイ段の「り」で終わるのはこのグループだけ。「あり」を含む「かかり」「さり」「しかり」も同じ活用

「ひいきにみゐる」の9語は、どれも「見(み)」「着(き)」のように未然形・連用形が1音節です。語幹と活用語尾を分けられないので、学校文法では「語幹と語尾の区別がない」と説明します。

行まで問われやすい動詞

活用の種類だけでなく「何行に活用するか」を問われるのが、ア行・ヤ行・ワ行の動詞です。仮名遣いのミス(「植え」と書いてしまうなど)にも直結するので、次の語は形ごと覚えておきます。

語活用の種類未然形連用形終止形連体形已然形命令形
得(う)ア行下二段ええううるうれえよ
植うワ行下二段植ゑ植ゑ植う植うる植うれ植ゑよ
老ゆヤ行上二段老い老い老ゆ老ゆる老ゆれ老いよ
射るヤ行上一段いいいるいるいれいよ
居るワ行上一段ゐゐゐるゐるゐれゐよ
  • ア行に活用する動詞は、下二段の「得(う)」と、その複合語だけです。
  • ワ行下二段は「植う」「飢う」「据う」の3語です。
  • ヤ行上二段は、ふつう「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」の3語を覚えます(資料によっては「臥ゆ」を加えて4語とします)。

残りの動詞は「ず」を付けて見分ける

6種類の暗記リストに入っていない動詞は、次の手順で判定します。

  1. 暗記リスト(上一段・下一段・カ変・サ変・ナ変・ラ変)に入っていないか確認する
  2. 動詞に打消の助動詞「ず」を付けて、未然形を作る
  3. 「ず」の直前の音が何段かで判定する
「ず」の直前の音活用の種類例
ア段四段活用書く → 書かず、飽く → 飽かず
イ段上二段活用起く → 起きず、落つ → 落ちず
エ段下二段活用受く → 受けず、捨つ → 捨てず

現代語の感覚で間違えやすい動詞

「ず」を付けるときは、必ず古語の形で考えます。現代語の活用に引っぱられると、次の語でつまずきます。

現代語
古語
飽く・足る
現代語上一段(飽きる・足りる)
古語四段(飽かず・足らず)
恨む
現代語五段(恨まない)
古語上二段(恨みず)
死ぬ
現代語五段
古語ナ変(死な・死に・死ぬ・死ぬる・死ぬれ・死ね)
蹴る
現代語五段
古語下一段(け・け・ける・ける・けれ・けよ)
受ける・捨てる
現代語下一段
古語下二段(受く・捨つ)
現代語と古語で活用の種類が違う動詞

現代語の下一段動詞(受ける・捨てるなど)は、古語ではほぼ下二段です。現代語の上一段動詞(起きる・落ちるなど)も、古語では多くが上二段(起く・落つ)になります。

動詞9種類の活用表

代表的な語で、6つの活用形をまとめました。語幹と語尾を分けられない語は、語幹の欄を「なし」としています。

活用の種類例語語幹未然形連用形終止形連体形已然形命令形
四段書く書かきくくけけ
上一段見るなしみみみるみるみれみよ
上二段起く起ききくくるくれきよ
下一段蹴るなしけけけるけるけれけよ
下二段受く受けけくくるくれけよ
カ変来なしこきくくるくれこ(こよ)
サ変すなしせしすするすれせよ
ナ変死ぬ死なにぬぬるぬれね
ラ変ありあらりりるれれ

表を覚えるときの注意点です。

  • カ変の命令形は「こ」と「こよ」の両方があります。平安時代までは「こ」、鎌倉時代以降は「こよ」の例が多いとされ、多くの表で「こ(こよ)」と併記します。
  • 語幹と語尾の区別がないのは、上一段・下一段・カ変・サ変のほか、下二段の「得(う)」「経(ふ)」「寝(ぬ)」などの1音節の語です。
  • 二段活用の連体形・已然形・命令形は、それぞれ「る」「れ」「よ」が付く形になります(起くる・起くれ・起きよ)。上一段・下一段も同じく「る・れ・よ」が付きます。
  • ラ変は、終止形が「り」(イ段)で終わる点が四段と違います。

活用形ごとの主な使われ方

どの活用形に何が続くかを知っておくと、文中の動詞の活用形を特定しやすくなります。

活用形主な使われ方四段「書く」の例
未然形「ず」「む」や、仮定の「ば」が付く書かず・書かむ・書かば
連用形用言や「けり」「き」「たり」「て」などに続く書きけり・書きて
終止形文を言い切る。「べし」「らむ」などが付く書く。・書くべし
連体形体言に続く。係助詞「ぞ・なむ・や・か」の結びになる書くこと
已然形確定の「ば」、「ど」「ども」が付く。係助詞「こそ」の結びになる書けば・書けども
命令形命令して言い切る書け

未然形に付く「ば」は「もし〜ならば」の仮定、已然形に付く「ば」は「〜ので・〜と」の確定条件です。形は似ていても意味が変わるので、活用形の特定が読解に直結します。

活用表を覚えたら、古文 活用ドリルで「活用の種類×活用形」を選択式で反復できます。間違えた活用を、表に戻って確かめながら練習できます。紙に書いて確かめたい場合は、古文 活用表プリントで、9種類の表を穴埋め・答えつき・一覧表にして印刷できます。

実際の古文で確かめる

有名な冒頭部分で、動詞の活用の種類と活用形を確認してみます。本文は Wikisource・青空文庫などの公開本文をもとにし、『竹取物語』と『古今和歌集』は読みやすいように句読点・漢字・濁点を補っています。

今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。(『竹取物語』冒頭)

  • いふ:ハ行四段「いふ」の連体形(体言「もの」に続く)
  • あり:ラ変「あり」の連用形(連用形に付く助動詞「けり」が続く)
  • まじり:ラ行四段「まじる」の連用形
  • 取り:ラ行四段「取る」の連用形
  • 使ひ:ハ行四段「使ふ」の連用形

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。(『方丈記』冒頭、青空文庫の本文による。教科書に多い大福光寺本では「久しくとどまりたるためしなし」)

  • 行く:カ行四段「行く」の連体形
  • 絶え:ヤ行下二段「絶ゆ」の未然形(「ず」が付く)
  • あら:ラ変「あり」の未然形(「ず」が付く)
  • 浮ぶ:バ行四段「浮ぶ」の連体形
  • 消え:ヤ行下二段「消ゆ」の連用形
  • 結び:バ行四段「結ぶ」の連用形
  • とゞまる:ラ行四段「とどまる」の連体形

秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(『古今和歌集』巻四・秋歌上、藤原敏行)

  • 来:カ変「来」の連用形で、「き」と読みます。完了の助動詞「ぬ」は連用形に付くからです。「こぬ」と読むと打消になり、意味が逆になります。
  • 見え:ヤ行下二段「見ゆ」の未然形(打消「ず」の已然形「ね」が付く)
  • おどろか:カ行四段「おどろく」の未然形(助動詞「る」が付く)

まいて雁などの列ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。(『枕草子』第一段)

  • 列ね:ナ行下二段「列ぬ(つらぬ)」の連用形
  • 見ゆる:ヤ行下二段「見ゆ」の連体形(「は」の前で体言のように働く)

練習問題(10問)

答えは各問の「答え」を開いて確認してください。

問1. 「着る」の活用の種類を答えなさい。

答え

上一段活用(カ行上一段)

「ひいきにみゐる」の「き」です。暗記リストに入っている語なので、「ず」を付けて判定する必要はありません。

問2. 「落つ」の活用の種類を答えなさい。

答え

上二段活用(タ行上二段)

暗記リストにないので「ず」を付けます。「落ちず」で、直前の「ち」はイ段です。

問3. 「捨つ」の活用の種類を答えなさい。

答え

下二段活用(タ行下二段)

「捨てず」で、直前の「て」はエ段です。現代語「捨てる」(下一段)は、古語ではほぼ下二段になります。

問4. 「飽く」の活用の種類を答えなさい。

答え

四段活用(カ行四段)

古語では「飽かず」で、直前がア段です。現代語の「飽きる」(上一段)に引っぱられて上二段と答えないように注意します。

問5. 「恨む」の活用の種類を答えなさい。

答え

上二段活用(マ行上二段)

古語では「恨みず」になります。現代語の「恨まない」(五段)とは活用が違います。

問6. 次のうち、ナ行変格活用の動詞をすべて選びなさい。「死ぬ」「寝(い)ぬ」「往ぬ」「尋ぬ」

答え

死ぬ・往ぬ

ナ変はこの2語だけです。「寝ぬ」「尋ぬ」はどちらも下二段活用です。

問7. 次のうち、ラ行変格活用の動詞をすべて選びなさい。「あり」「をり」「居(ゐ)る」「散る」

答え

あり・をり

「居る」は上一段(ワ行)、「散る」は四段です。終止形が「り」で終わるかどうかがラ変の目印です。

問8. 「植う」の連用形を、歴史的仮名遣いで答えなさい。

答え

植ゑ

「植う」はワ行下二段活用なので、未然形・連用形は「ゑ」になります。「植え」とは書きません。

問9. 「秋来ぬと」の「来」の読み方と活用形を答えなさい。

答え

読み方は「き」、カ変「来」の連用形

下の「ぬ」は完了の助動詞で、連用形に付きます。カ変の連用形は「き」なので「きぬ」と読み、「秋が来た」という意味になります。

問10. 「いと小さく見ゆるは」の「見ゆる」の活用の種類と活用形を答えなさい。

答え

ヤ行下二段活用「見ゆ」の連体形

「見ゆ」は「見えず」とエ段になるので下二段です。上一段の「見る」とは別の動詞です。

まとめ

  • 古文の動詞の活用は、正格5種類(四段・上一段・上二段・下一段・下二段)と変格4種類(カ変・サ変・ナ変・ラ変)の9種類
  • 上一段(ひいきにみゐる)・下一段(蹴る)・カ変(来)・サ変(す・おはす)・ナ変(死ぬ・往ぬ)・ラ変(あり・をり・はべり・いまそかり)は先に暗記
  • 残りは「ず」を付けて、直前がア段なら四段、イ段なら上二段、エ段なら下二段
  • 「飽く」「足る」(四段)や「恨む」(上二段)など、現代語と活用が違う語に注意
  • 「得」(ア行)、「植う・飢う・据う」(ワ行下二段)、「老ゆ・悔ゆ・報ゆ」(ヤ行上二段)は行まで覚える

動詞の活用表が固まると、助動詞の接続(「未然形に付く」「連用形に付く」など)が一気に読めるようになります。次は助動詞の活用表と接続に進むのがおすすめです。

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参考資料

よくある質問

4件
古文の動詞の活用は何種類ありますか?
9種類です。規則的に変化する正格活用が四段・上一段・上二段・下一段・下二段の5種類、変則的な変格活用がカ行変格(カ変)・サ行変格(サ変)・ナ行変格(ナ変)・ラ行変格(ラ変)の4種類です。四段・上二段・下二段は、少数の動詞に限られる活用と分けて整理します。
古文の動詞の活用の種類はどうやって見分けますか?
まず所属する語が少ない上一段(着る・見るなど)・下一段(蹴る)・カ変(来)・サ変(す・おはす)・ナ変(死ぬ・往ぬ)・ラ変(あり・をり・はべり・いまそかり)を暗記し、それ以外の動詞に打消の助動詞「ず」を付けます。「ず」の直前がア段なら四段、イ段なら上二段、エ段なら下二段です。
上一段活用の動詞にはどんな語がありますか?
干る・射る・鋳る・着る・似る・煮る・見る・居る・率るで、頭の音をつないで「ひいきにみゐる」と覚えます。顧みる・試みる・用ゐる・率ゐる(ひきゐる)など、これらを含む複合語も上一段活用です。
現代語と古語で活用の種類が違う動詞はありますか?
あります。「飽く」「足る」は現代語では上一段(飽きる・足りる)ですが、古語では四段(飽かず・足らず)です。「恨む」は現代語では五段ですが、古語では上二段(恨みず)です。「死ぬ」は古語ではナ変、「蹴る」は下一段です。現代語の感覚ではなく、古語の形に「ず」を付けて判定してください。
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