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古文の形容動詞 活用表|ナリ活用・タリ活用と見分け方

執筆・編集 RandaWorks 更新 2026年10月5日 15分で読める
#古文#古典文法#形容動詞#活用表

古文の形容動詞は、ナリ活用とタリ活用の2種類しかありません。終止形が「〜なり」ならナリ活用、「〜たり」ならタリ活用で、どちらも連用形の「に」「と」を除けば、ラ変動詞「あり」と同じ「ら・り・り・る・れ・れ」の並びで活用します。形容詞との見分けも終止形でつき、「〜し(〜じ)」で言い切れば形容詞、「〜なり」「〜たり」で言い切れば形容動詞です。

形容動詞の活用表(ナリ活用・タリ活用)

活用の種類例語語幹未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ナリ活用静かなり静かならなり・になりなるなれなれ
タリ活用堂々たり堂々たらたり・とたりたるたれたれ

語幹に語尾を付けた形と、主な続き方は次のとおりです。

活用形ナリ活用「静かなり」タリ活用「堂々たり」主な続き方
未然形静かなら堂々たら「ず」「む」、仮定の「ば」
連用形静かなり・静かに堂々たり・堂々と「なり」「たり」の形は「けり」「き」などの助動詞へ。「に」「と」の形は用言や助詞へ
終止形静かなり堂々たり文を言い切る
連体形静かなる堂々たる体言に続く。係助詞「ぞ・なむ・や・か」の結び
已然形静かなれ堂々たれ確定の「ば」、「ど」「ども」。係助詞「こそ」の結び
命令形静かなれ堂々たれ命令して言い切る

ラ変「あり」から生まれた活用

ナリ活用は「静かに」+「あり」、タリ活用は「堂々と」+「あり」が縮まってできた形です。そのため語尾の並びはラ変「あり」とそろい、もとの「に」「と」の形も連用形として使われます。

語未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ラ変「あり」あらありありあるあれあれ
ナリ活用の語尾ならなり・になりなるなれなれ
タリ活用の語尾たらたり・とたりたるたれたれ

「ら・り・り・る・れ・れ」を覚えておけば、先頭を「な」「た」に変えるだけで表が再現できます。

表の書き方が分かれる点

  • 連用形の「に」「と」:デジタル大辞泉は「なら・なり(に)・なり・なる・なれ・なれ」のように連用形の欄に並べます。一方で、連用形の欄には「なり」「たり」だけを書き、「に」「と」は別に説明する教材もあります。精選版 日本国語大辞典も、タリ活用について「堂々と」を連用形に組み込む考え方がある、と書いています。この記事では「に」「と」を連用形として扱います。設問では授業で採用する分析・表記に合わせてください。
  • ナリ活用の命令形「なれ」:辞典・事典では「なれ」と載せますが、用例が少ないため「(なれ)」と括弧付きにする表もあります。タリ活用も、未然形・已然形・命令形の用例は多くありません。
  • カリ活用の扱い:「高かり」「悲しかり」のようなカリ活用は、かつて形容動詞の一種として並べられたこともありますが、現在は形容詞の補助活用に含めるのが普通です。
  • 品詞として立てるかどうか:形容動詞を独立した品詞と認めず、「名詞+助動詞」とみる学説もあります。学校文法では、実用上「静かなり」全体を1語の形容動詞として扱います。

活用形の問いを反復したい場合は、古文 活用ドリルにナリ活用・タリ活用と形容詞ク活用・シク活用(本活用・補助活用)の設問が入っています。紙に書いて確かめたい場合は、古文 活用表プリントで、同じ表を穴埋め・答えつき・一覧表にして印刷できます。

ナリ活用とタリ活用の違い

ナリ活用
タリ活用
終止形
ナリ活用〜なり(静かなり・あはれなり)
タリ活用〜たり(堂々たり・平然たり)
連用形の別形
ナリ活用〜に(静かに)
タリ活用〜と(堂々と)
成り立ち
ナリ活用「〜に」+「あり」
タリ活用「〜と」+「あり」
語幹
ナリ活用和語も漢語もある(静か・あはれ・きよら・おろか)
タリ活用ほとんどが漢語(堂々・平然・悠々)
よく出る文章
ナリ活用平安時代の和文をはじめ幅広い
タリ活用漢文訓読調の文章や和漢混交文
現代語では
ナリ活用「静かだ」の形の形容動詞
タリ活用「堂々と」「堂々たる」の形で残る
ナリ活用とタリ活用

ナリ活用の語幹には、「ほのか」「たをやか」「うららか」「をかしげ」のように、「〜か」「〜やか」「〜らか」「〜げ」が付いた語が多く見られます。この形を見たら、形容動詞を疑うのが近道です。

実際の古文で確かめる

有名な冒頭部分で、形容動詞と形容詞を確認します。『古今和歌集』の歌は、読みやすいように漢字と濁点を補っています。

つれづれなるまゝに、日くらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。(『徒然草』序段)

  • つれづれなる:ナリ活用「つれづれなり」の連体形(体言「まゝ」に続く)
  • あやしう:シク活用の形容詞「あやし」の連用形「あやしく」のウ音便
  • 物狂ほしけれ:シク活用の形容詞「物狂ほし」の已然形(係助詞「こそ」の結び)

夏は夜。月の頃はさらなり。(『枕草子』第一段)

  • さらなり:ナリ活用「さらなり」の終止形(「言うまでもない」)

秋は夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。(『枕草子』第一段)

  • あはれなり:ナリ活用「あはれなり」の終止形
  • 近う:ク活用の形容詞「近し」の連用形「近く」のウ音便
  • なり(なりたる):動詞「なる」の連用形。「近くなった」という変化を表すので、形容動詞ではありません

秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(『古今和歌集』巻四・秋歌上、藤原敏行)

  • さやかに:ナリ活用「さやかなり」の連用形。下の動詞「見え」に続くので「に」の形になっています

世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(『古今和歌集』巻一・春歌上、在原業平)

  • のどけから:ク活用の形容詞「のどけし」の補助活用(カリ活用)の未然形。下に助動詞「まし」が続くので補助活用を使っています

語幹の用法

形容動詞は、ほかの用言に比べて語幹の独立性が強いのが特徴です。ク活用の形容詞も同じように語幹だけで使われ、シク活用の形容詞では終止形がこの位置に立ちます。

感動を込めて言い切る

語幹だけで、または感動詞「あな」と組んで、「ああ、〜だなあ」と言い切ります。

  • 「いで、あな幼や。」(『源氏物語』若紫):ク活用の形容詞「幼し」の語幹「幼」
  • 「あな、きよら。」(学習用の例文):ナリ活用の形容動詞「きよらなり」の語幹「きよら」

「の」を伴って体言を修飾する

語幹に格助詞「の」が付いて、下の体言を修飾します。

  • 「おぼろけの御宿世にもあらず」(『源氏物語』薄雲):ナリ活用の形容動詞「おぼろけなり」の語幹「おぼろけ」
  • 「をかしの御髪や。」(『源氏物語』若紫):シク活用の形容詞「をかし」。シク活用は終止形の「をかし」がこの位置に立ちます

語幹には接尾語も付きます。「あはれ」に「がる」が付けば動詞「あはれがる」、形容詞の語幹に「さ」「み」が付けば名詞(「深さ」「悲しみ」)になります。

形容詞(ク活用・シク活用)との見分け方

形容詞
形容動詞
終止形
形容詞〜し(「いみじ」などは〜じ)
形容動詞〜なり・〜たり
活用の種類
形容詞ク活用・シク活用
形容動詞ナリ活用・タリ活用
助動詞に続く形
形容詞補助活用(カリ活用)を使う(高から・高かり)
形容動詞語尾「なら」「なり」などをそのまま使う
例
形容詞高し・悲し・いみじ
形容動詞静かなり・あはれなり・堂々たり
形容詞と形容動詞

形容詞の活用表(本活用と補助活用)

活用の種類例語系列未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ク活用高し本活用(く)くしきけれ○
ク活用高し補助活用(カリ活用)からかり○かる○かれ
シク活用悲し本活用(しく)しくししきしけれ○
シク活用悲し補助活用(カリ活用)しからしかり○しかる○しかれ
  • 補助活用は、形容詞の連用形「く」「しく」にラ変「あり」が付いて縮まった形です。形容詞に欠けている「助動詞に続く」はたらきを補うので、主に下に助動詞が来るときに使います(高からず・高かりけり)。補助活用の終止形・已然形は、ふつう使いません(「多かり」などの例外があります)。
  • 未然形の「(く)」「(しく)」:「〜くは」「〜しくは」の形で現れる形です。これを「連用形+係助詞は」とみる説もあるため括弧付きにする表が多く、国語辞典は本活用を「く・く・し・き・けれ・○」と載せます。
  • シク活用の語幹:学校文法では「し」の前までを語幹とします(悲し→悲)。ただし、ク活用の語幹と同じはたらきをシク活用では「〜し」の形がするので、「し」までを語幹とみる説もあります。

ク活用とシク活用の判定法

形容詞に「なる」を付けて、連用形を作ります。

  • 「高くなる」のように 「〜くなる」ならク活用
  • 「悲しくなる」のように 「〜しくなる」ならシク活用(「いみじくなる」「すさまじくなる」のように濁るものもシク活用)

意味の傾向として、ク活用には「高し」「赤し」のような客観的な性質・状態を表す語が、シク活用には「うれし」「悲し」のような感情を表す語が多い、ともいわれます。ただし例外もあるので、判定は「なる」を付けて行ってください。

形容詞の補助活用の使い分け、語幹の用法、音便は、古文の形容詞 活用表|ク活用・シク活用とカリ活用の見分け方で、例文と練習問題つきで整理しています。

「なり」の識別への入口

形容動詞を学ぶと、必ずぶつかるのが「なり」の識別です。古文の「なり」には、次の4種類があります。

「なり」の正体上に来る形意味見分けの手がかり
断定の助動詞体言・連体形〜である/(場所を表す語+なる)〜にある上の語が名詞や連体形
伝聞推定の助動詞終止形(ラ変型の語は連体形)〜そうだ・〜という/〜ようだ上が終止形。撥音便のあと(「あなり」「あんなり」)も伝聞推定
形容動詞の活用語尾状態を表す語幹〜である(状態・性質)「静か」「あはれ」「〜げ」など、「なり」まで含めて1語
動詞「なる」の連用形「〜に」「〜く」「〜と」など〜になる(変化)「なる」と言い換えて変化の意味になる

判定は、次の順で確認すると迷いにくくなります。

  1. 「〜になり」「〜くなり」「〜となり」で、変化を表していないか → 動詞「なる」
  2. 「なり」の上が、状態を表す語幹(静か・あはれ・〜げ など)ではないか → 形容動詞
  3. 「なり」の上が体言・連体形か、終止形(ラ変型は連体形)か → 断定か伝聞推定

有名な例文で確かめます。

  • 「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」(『土佐日記』冒頭):「すなる」はサ変「す」の終止形に付くので伝聞推定、「するなり」は連体形「する」に付くので断定
  • 「山の端いと近うなりたるに」(『枕草子』第一段):「近う(近く)」のあとで変化を表すので動詞「なる」
  • 「飛び急ぐさへあはれなり」(『枕草子』第一段):「あはれなり」で1語の形容動詞
  • 「おぼしき事言はぬは腹ふくるるわざなれば」(『徒然草』第十九段):体言「わざ」に付くので断定

助動詞「なり」の活用表と、ほかの助動詞との接続の違いは、古文の助動詞 活用表と接続一覧で詳しく整理しています。

練習問題(11問)

答えは各問の「答え」を開いて確認してください。

問1. 「静かなり」の未然形を答えなさい。

答え

静かなら

ナリ活用の未然形は「なら」です。「静かならず」「静かならむ」のように使います。

問2. 「堂々たり」の連体形を答えなさい。

答え

堂々たる

タリ活用の連体形は「たる」です。現代語の「堂々たる態度」にもこの形が残っています。

問3. 「あはれなり」を已然形にして、接続助詞「ば」を付けた形を答えなさい。

答え

あはれなれば

ナリ活用の已然形は「なれ」です。已然形+「ば」で「〜ので」という確定条件になります。

問4. 「つれづれなるまゝに」の「つれづれなる」の品詞・活用の種類・活用形を答えなさい。

答え

形容動詞・ナリ活用・連体形

終止形は「つれづれなり」です。下の体言「まゝ」に続くので連体形「なる」になっています。

問5. 「目にはさやかに見えねども」の「さやかに」の品詞・活用形を答えなさい。

答え

形容動詞「さやかなり」(ナリ活用)の連用形

下の動詞「見え」に続く連用形なので、「なり」ではなく「に」の形になっています。

問6. 「月の頃はさらなり」の「さらなり」の品詞と活用形を答えなさい。

答え

形容動詞(ナリ活用)の終止形

「言うまでもない」という意味で、ここで文を言い切っています。

問7. 次の語を、形容詞ク活用・形容詞シク活用・形容動詞ナリ活用・形容動詞タリ活用に分けなさい。「高し」「悲し」「あはれなり」「いみじ」「堂々たり」

答え

ク活用:高し/シク活用:悲し・いみじ/ナリ活用:あはれなり/タリ活用:堂々たり

「なる」を付けると「高くなる」「悲しくなる」「いみじくなる」です。「いみじ」は濁りますがシク活用です。

問8. 「春の心はのどけからまし」の「のどけから」を文法的に説明しなさい。

答え

ク活用の形容詞「のどけし」の補助活用(カリ活用)の未然形

下に助動詞「まし」が続くので、本活用ではなく補助活用の形になっています。

問9. 「いで、あな幼や」の「幼」を文法的に説明しなさい。

答え

ク活用の形容詞「幼し」の語幹(語幹用法)

感動詞「あな」と組み、活用語尾を付けずに感動を込めて言い切っています。「ああ、子どもっぽいことよ」という意味です。

問10. 「山の端いと近うなりたるに」の「なり」を識別しなさい。

答え

動詞「なる」の連用形

「近う」は形容詞「近し」の連用形「近く」のウ音便です。「近くなった」という変化を表しているので、動詞「なる」です。

問11. 「男もすなる日記」の「なる」と、「女もしてみむとてするなり」の「なり」を識別しなさい。

答え

「なる」は伝聞推定の助動詞「なり」の連体形、「なり」は断定の助動詞「なり」の終止形

「すなる」はサ変「す」の終止形に付くので伝聞推定、「するなり」は連体形「する」に付くので断定です。

まとめ

  • 古文の形容動詞はナリ活用とタリ活用の2種類
  • ナリ活用は「なら・なり(に)・なり・なる・なれ・なれ」、タリ活用は「たら・たり(と)・たり・たる・たれ・たれ」
  • どちらもラ変「あり」と同じ並びに、連用形の「に」「と」が加わった形
  • 形容詞とは終止形で見分け、ク活用とシク活用は「なる」を付けて判定する
  • 語幹は独立性が強く、「あな+語幹」「語幹+の」の形で使われる
  • 「なり」の識別は、変化(動詞)→ 状態の語幹(形容動詞)→ 接続(断定・伝聞推定) の順に確認する

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参考資料

よくある質問

5件
古文の形容動詞の活用は何種類ありますか?
ナリ活用とタリ活用の2種類です。ナリ活用は「なら・なり(に)・なり・なる・なれ・なれ」、タリ活用は「たら・たり(と)・たり・たる・たれ・たれ」と活用します。連用形の「に」「と」を除けば、どちらもラ変動詞「あり」と同じ「ら・り・り・る・れ・れ」の並びです。
ナリ活用とタリ活用はどう見分けますか?
終止形の語尾が「なり」ならナリ活用、「たり」ならタリ活用です。タリ活用の語幹は「堂々」「平然」「悠々」のような漢語がほとんどで、漢文訓読調の文章や和漢混交文に多く出ます。平安時代の和文で出会う形容動詞は、ほとんどがナリ活用です。
古文の形容詞と形容動詞はどう見分けますか?
終止形で見分けます。「高し」「悲し」のように「し」(「いみじ」などは「じ」)で言い切るのが形容詞、「静かなり」「堂々たり」のように「なり」「たり」で言い切るのが形容動詞です。形容詞のク活用とシク活用は、「なる」を付けて「高くなる」ならク活用、「悲しくなる」ならシク活用と判定します。
形容動詞の語幹用法とは何ですか?
形容動詞や形容詞の語幹が、活用語尾を付けずに使われる用法です。感動詞「あな」と組んで感動を込めて言い切ったり、「の」を伴って体言を修飾したりします。『源氏物語』若紫の「いで、あな幼や」(形容詞「幼し」の語幹)や、薄雲の「おぼろけの御宿世にもあらず」(形容動詞「おぼろけなり」の語幹)が例です。
「なり」が形容動詞の活用語尾かどうかはどう判断しますか?
「なり」の上の部分が「静か」「あはれ」「きよら」のような状態を表す語幹か、「〜か」「〜やか」「〜らか」「〜げ」の付いた語かを確かめます。上が体言・連体形なら断定の助動詞、終止形(ラ変型は連体形)なら伝聞推定の助動詞、「〜に」「〜く」「〜と」のあとで「〜になる」という変化を表すなら動詞「なる」の連用形です。
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