子どものタッチタイピングは、FとJ → ホーム段の8キー → 母音(A・I・U・E・O)→ 子音の行(か行〜わ行)→ 濁音・半濁音 → ことば → 手元を見ない練習の順に進めると、一度に覚えるキーが少なくて済みます。速さは最後に見ます。それまでは、正しいキーを押せた割合(正確率)を目安にします。
この順番は、RandaWorksが無料のタッチタイピング練習タイプクエストを作るときに採ったものです。研究で最適と確かめた順番ではなく、タイプクエストで練習した子どもの上達を測った結果でもありません。学校で決められた範囲と、文部科学省の調査で分かる入力の現状は、出典を示して分けて書きます。
練習の順番 早見表
| 段階 | 練習するキー | 次へ進む目安 | タイプクエストのレッスン |
|---|---|---|---|
| 1. 指の家 | F・J | 見ないでFとJに人さし指を置ける | 「ゆびのおきかた」、P1 |
| 2. ホーム段 | A・S・D・F・J・K・L・; | 8キーを、指を間違えずに押せる | P2〜P4 |
| 3. 母音 | A・I・U・E・O | 「あいうえお」を見ないで打てる | V1〜V4 |
| 4. 子音の行 | K・S・T・N・H・M・R・Y・W | か行〜わ行と「ん」を打てる | R2〜R9 |
| 5. 濁音・半濁音 | G・Z・D・B・P | が行〜ぱ行を打てる | R10・R11 |
| 6. ことば | ここまでのキー全部 | 2〜4文字のことばを打てる | R12 |
| 7. 見ないで打つ | ここまでのキー全部 | キーボードを隠しても打てる | R13 |
| 英語のキー | C・V・X・Q・Lなど | アルファベット26文字を打てる | A1〜A3 |
「次へ進む目安」は当サイトの提案です。タイプクエストでは、正確率95%以上で星3つになります。星3つが取れなかったレッスンは、同じものをもう一度やってから次へ進むよう勧めています。
学校では、ローマ字と文字入力をいつ習う?
ローマ字は、小学3年生の国語で習います。文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)は、第3学年の国語で、日常使われている簡単な単語をローマ字で読み書きすることを求めています。
コンピュータでの文字入力は、特定の教科ではなく総則に書かれています。各教科等の特質に応じて計画的に行う学習活動として、「児童がコンピュータで文字を入力するなど」の基本的な操作を習得する活動が挙げられています。国語の「指導計画の作成と内容の取扱い」も、第3学年のローマ字の指導を、総合的な学習の時間に示されたこの操作の習得と関連付けるよう求めています。
指の置き方や、どのキーから覚えるかは、学習指導要領の本文には書かれていません。家で練習するなら、学校で使っている教材やつづりの表を先に確かめておくと、授業との違いを子どもに説明しやすくなります。
小学5年生の入力は1分間に15.8文字
文部科学省が令和3年度に行った情報活用能力調査(実施は令和4年1〜2月、報告書は令和5年3月)では、小学5年生・中学2年生・高校2年生に、キーボードで文章を写す課題が出されました。課題文は漢字・片仮名・アルファベットを含む285文字で、入力時間は3分間。分からない文字は飛ばしてよいと説明されていました。
| 1分間あたりの文字入力数 | 小学校5年 | 中学校2年 | 高校2年 |
|---|---|---|---|
| 平均値 | 15.8文字 | 23.0文字 | 28.4文字 |
| 中央値 | 14.7文字 | 21.3文字 | 26.3文字 |
| 15文字未満の割合 | 51.2% | 23.3% | 9.3% |
| 5文字未満の割合 | 17.6% | 3.8% | 1.1% |
| 40文字程度(A4用紙1行)を入力できた割合 | 2.3% | 6.4% | 13.9% |
小学5年生の約半数は、1分間に15文字に届いていません。報告書は、端末を使って自分の考えを表すには滑らかな文字入力が大事だとし、日常的に入力の経験を積むことを挙げています。
この数字を家での目標にするときは、数え方の違いに気をつけてください。調査が数えたのは入力された文字の数で、課題文には漢字も含まれていました。タイプクエストの結果画面に出る「打/分」は、1分間あたりに正しく押したキーの数です。「し」は si なら2打、shi なら3打なので、同じ1分間でも数字の大きさが変わります。
段階ごとの練習の中身
1〜2. FとJから、ホーム段の8キーへ
左手の人さし指をF、右手の人さし指をJに置きます。多くのキーボードではFとJのキーに小さな突起があり、目で見なくても指の位置が分かります。そこから中指をDとK、薬指をSとL、小指をAと;に置いたのが、ホームポジション(ホーム段の8キー)です。
タイプクエストでは、最初の「ゆびのおきかた」でFとJを1回ずつ押してから、P1〜P4で指を1組ずつ増やします。1回のレッスンは3つの段階に分かれています。
- 新しいキーを、1つにつき5回ずつ押す
- 新しいキーだけを、ランダムな順で12回押す
- それまでに覚えたキーと混ぜて12回押す(P4は18回)
新しいキーだけの練習のあとで、前に覚えたキーと混ぜます。P1〜P3の最後の段階で「一打ごとに、ゆびの家へもどろう」と表示するのは、押した指をホーム段に戻す癖をつけるためです。P4の最後は、8キーをまとめて打つ総しあげです。
3. 母音のA・I・U・E・Oを先に覚える
ローマ字入力では、か行からわ行までのかなは「子音のキー+母音のキー」で打ちます。「か」はK+A、「ね」はN+E です。タイプクエストのつづり表では、「ん」(nn)を除くすべてのかなが、母音のキーで終わります。
母音の5キーを先に確実にしておくと、子音の行を覚えるときに、新しく覚えるのは子音のキー1つだけになります。タイプクエストではV1で「あ・い」、V2で「う・え・お」と2回に分け、V4ではキーの光るガイドを消して5つを打ちます。
4〜5. 子音の行と濁音・半濁音
か行(K)、さ行(S)、た行(T)、な行(N)、は行(H)、ま行(M)、ら行(R)、や行・わ行(Y・W)と「ん」の順に、1行ずつ練習します。そのあとに、が・ざ・だ行(G・Z・D)、ば・ぱ行(B・P)を加えます。
行ごとのレッスンも、ガイドを3段階で減らします。
- キーのガイドを見ながら、あ段から順に打つ
- キーを光らせずに、ランダムな順で打つ
- 画面のキーボードを隠して打つ
この「手がかりを少しずつ外していく」考え方は、ゲームのチュートリアルで見本を段階的に消していく方法と同じです。詳しくはゲームのチュートリアル設計|見本を少しずつ消す方法で紹介しています。
6〜7. ことばにして、手元を見ずに打つ
1文字ずつ打てるようになったら、ことばにします。タイプクエストのR12は、「ねこ」「さかな」「ぺんぎん」「にんじん」など40語から10語を出題します。R13では画面のキーボードが隠れ、手元を見ないで打ちます。速さ(打/分)はどのレッスンの結果画面にも出ますが、自分の記録として見比べ始めるのはこの段階からで十分だと考えています。
速さより先に、正確率を見る
タイプクエストには時間制限も減点もありません。違うキーを押すと先に進まず、正確率が下がるだけです。星の数は正確率だけで決まり、95%以上で3つ、85%以上で2つ、それより下は1つです。速さ(打/分)は結果画面に表示しますが、星には関係させていません。
結果画面には、ミスの多かったキーを3つまで「つぎにゆっくり押してみよう」と出します。たとえば「D(4回)」と出たら、左手の中指が隣のSやFに流れていないかを確かめます。正確率が低いまま速さを上げようとすると、間違った指の動きのほうを繰り返すことになるので、当サイトでは正確率を先に見るよう勧めています。
つまずきやすい点
「し」は si でも shi でもよい
パソコンのローマ字入力では、「し」は si でも shi でも入力できます。タイプクエストも、「し」(si・shi)、「ち」(ti・chi)、「つ」(tu・tsu)、「ふ」(hu・fu)、「じ」(zi・ji)を、どちらのつづりでも正解にしています。
2025年に改定された「ローマ字のつづり方」(令和7年内閣告示第4号)は、社会で広く使われている「shi」「tsu」「chi」「fu」「ji」などを採りました。文化庁のQ&A(令和8年2月)は、ローマ字入力はローマ字のつづり方とは別のもので、入力方法に変更を求めるものではないと説明しています。国語の授業で習うつづりと、キーボードで打つつづりが違っても、入力ではどちらも使えます。
「ん」は nn と打つ
nを1回だけ打つと、次の文字とつながることがあります。「ほんや(本屋)」を honya と打つと、nyaが「にゃ」になって「ほにゃ」と表示されます。nnと打てば、後ろに何が来ても「ん」になります。タイプクエストは最初から「ん」をnnで練習します。
キーボードを見ないための工夫
タイプクエストの練習画面では、「1」キーで画面のキーボードを「みる」「うすく」「かくす」に切り替えられます。ローマ字のレッスンでは、隠したまま同じ文字で2回間違えると、どの指で押すかの案内が出ます。最初は「うすく」で始め、迷わなくなったら「かくす」に進めると、見ないで打つ時間を少しずつ増やせます。
タブレットでは外付けのキーボードを使う
タイプクエストは物理キーボードを押して練習するため、タブレットやスマートフォンでは外付けのキーボードをつなぎます。文部科学省の調査でも、小学5年生の90.3%がこの調査で物理キーボードを使って入力していました。画面上のキーボードやフリック入力は指の動かし方が違うので、別の練習として考えてください。
タイプクエストで練習できる範囲
タイプクエストは、ブラウザで遊べる無料のタッチタイピング練習です。登録やインストールは要りません。全23レッスンで、STEP1(ホームポジション)、STEP2(母音)、STEP3(ローマ字)、STEP4(英語のキーと英単語)に分かれています。
練習できるのは、清音・濁音・半濁音と「ん」、「を」(wo)までです。「きゃ」などの拗音、「っ」などの促音、長音の「ー」、数字や記号、漢字への変換はレッスンに入っていません。そこから先は、ふだんの文章を入力しながら覚えることになります。
星の数や自己ベストは、使っている端末のブラウザに保存されます。別の端末や別のブラウザでは引き継がれません。どのレッスンを始めた・終えたかは、サイト共通のアクセス解析で数えています(詳しくはプライバシーポリシー)。
次の練習に、英単語のタイピングRPGも
英語のキーまで打てるようになったら、同じRandaWorksのエイタンギアで、英単語を思い出して打つ練習もできます。和訳を手がかりに英単語のつづりを入力して敵を倒すタイピングRPGで、英単語の学習とは別に、FとJから始めるタイピング練習も選べます。こちらも物理キーボードのあるパソコンで遊ぶ作りです。
授業や宿題で英単語のゲームを使うときの決め方は、英単語ゲームを授業・宿題で使う|小テスト前の練習と確認にまとめています。
まとめ
- FとJに人さし指を置き、ホーム段の8キー、母音、子音の行、濁音・半濁音、ことば、手元を見ない練習の順に進める
- 学習指導要領では、ローマ字は小学3年生の国語で習う。指の置き方や練習の順番は書かれていない
- 小学5年生の入力は平均で1分間15.8文字(文部科学省、令和4年1〜2月実施)。入力された文字の数で、キーを押した回数とは違う
- 「し」は si でも shi でも入力できる。「ん」は nn と打つ
- 速さより先に正確率を見る。タイプクエストの星は正確率だけで決まる
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参考資料
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(PDF):第1章総則 第3の1(3)ア、第2章第1節国語 第2〔第3学年及び第4学年〕2(1)ウ、第3の2(1)ウ
- 文部科学省「情報活用能力調査 調査結果」令和5年3月(PDF):概要、2.4 文字入力の特徴(図表2-4-1・2-4-2)、3.1 問1(図表3-1-1)
- 文化庁国語課「「ローマ字のつづり方」(令和7年内閣告示第4号)に関するQ&A」令和8年2月(PDF):問1・問3・問52